utsu-cafe’s diary

うつと暮らす日々

攻撃的メンヘラ、或いはひたすらに世界を恨む魔物について

ラノベみたいで恐縮せざるを得ないタイトルだが、しかし今日のテーマは重い。

 

かつて、知人が攻撃的メンヘラに絡まれたことがある。

より正確には、彼女の為せる全方位攻撃に巻き込まれたらしい、というところだ。

その辺りの話を何回かに分けてしよう。

※なお、身バレなど到底あり得べからざるとは思うが、慮って幾ばくかの虚実を織り交ぜて語ることをご了承願いたい。

 

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彼女は、出会った初めから、明らかにメンタルヘルスの不調を醸し出していた。

目付きは焦点と視線のズレのせいで如何にも「病んでいる」感じが出ていたし、口許は常に「への字」か皮肉めいた笑みにしかならないようだった。

手首を見たわけではないが、夏にさしかかる暑さの中でも常に長袖の服を着ていたから、傷があるのかもしれない。

それでも、僕は(仕方ないことに、当時はそれが仕事だったから)彼女に話しかけた。

 

「こんにちは、ミムラさんですか?」

「……」

ミムラさん……ですよね?」

「……わかってるなら確認しなくてよくないですか?」

いきなりの喧嘩腰ときた。

しかしこちらに目を合わせないので、傍目には、ただ拗ねているようにしか見えないのだが。

「いや、間違いがあったらいけないと思ってね。確信があっても初回は訊くのがルールなんだ」

「……」

 

彼女が黙ったのを見て、とりあえず面談室に案内する。

ドアを開ける前に、軽く扉をノックした。

「どうぞ」

中から柔らかい女性の声がした。イチカワ先生だ。

「さ、ミムラさん、どうぞ」

僕が促すと彼女は僕を睨み付けて言った。

「気安く名前を呼ばないで」

「そうだね、まあ次から気を付けておくよ。面談時間は60分で、時間になったら声をかけるから」

返事の代わりにバタン、とドアが激しく閉まると、僕はため息をついて事務所に戻った。

 

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「ヒシダくん、大変だったでしょ」

彼女が初回の面談を終えて無言で出ていくと(当然僕は無視された)、面談室から出てきたイチカワ先生に声をかけられた。

「そうですね、端から喧嘩腰だったし……」

僕は思い出して、流石に眉根に不快感を示さざるを得なかった。

「ここのクライアントは大抵おとなしい人が多いですからね。久しぶりですよ、ああいうタイプは」

「鬱だ鬱だって云う割りには、彼女自身はしっかり行動できてるからね」

「難しいところですよ、実際。自分の進歩性や将来性の無さを、自分の無能力ではなく環境と病気のせいだけにしている」

イチカワ先生はコーヒーを淹れ始めた。それでいながら、聴いてるよ、というふうにちらりとこちらに視線をやる。

「勿論、彼女がああなってしまった原因は、外部的な環境……彼女の両親だか友人だか、生育状況に何らかの問題があった、というところでしょう?」

そうね、と呟きながらコーヒーメーカーから昇る湯気を指でかき回している。

「でも、平たくいってそれを怨念のように恨むだけでは人生が前には進まない。結局、彼女自身の人生を損なっているのは彼女なんですよ。原因を責めるなら気が済むまで好きにしたらいいけど、僕に叩きつけても無益極まりない」

僕は怒りのあまり、イチカワ先生に一気に捲し立てた。